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インタビュールーム:小山実稚恵(2020年)

小山実稚恵ピアノリサイタルにむけて(2020年4月地点。その後2021年4月開催予定 → 2022年8月開催)
※こちらの公演は終了いたしました。

小山実稚恵 KOYAMA Michie〈ピアノ〉

(c)-Wataru-Nishida

チャイコフスキー、ショパンの二大コンクールに入賞した唯一の日本人。2006年~17年までの『12年間・24回リサイタルシリーズ』は、演奏内容と企画性に於いて高い評価を受けた。被災地でも演奏を行い、仙台では自ら企画立案したプロジェクトを毎年行う。CDはソニーから30枚リリース。著書に『点と魂と』。16年度 芸術選奨文部科学大臣賞受賞。17年度 紫綬褒章受章。

京都ミューズに6回目のご出演となる小山実稚恵さんに、今回の曲のことなど、あれこれお尋ねしてみました♪

  • Q1 今回ベートーヴェンイヤーということで、ぜひベートーヴェンのピアノソナタを!とお願いしましたが、何故この3曲(30番・31番・32番)を選ばれたのですか?

    ベートーヴェンのピアノソナタに触れると、音楽の素晴らしさはもちろんですが、それだけでなく、人間の存在というものを考えさせられます。特に最後の3曲のソナタについては、ベートーヴェンは3曲がひとつのセットとなるように作曲していたと考えられます。32番を軸に、30番、31番は3度関係の調性が用いられ、フーガや変奏も使われています。「フーガ」や「変奏」というのは作曲家にとってのある意味で総結集的なもの。ベートーヴェンはこの最後の3曲のソナタにフーガや変奏を用いながら、自身の歩みを総集して語ろうと考えたのではなかったでしょうか。2020年はベートーヴェンの生誕250周年の記念の年です。ピアノ作品でのプログラムを考えたときに、この3曲以上の選択はないと思いました。
  • Q2 今回選曲されたベートーヴェンソナタを演奏される時に、どのような情景や色彩が浮かんでいますか?

    特定の情景や色は、この最後の3曲については私の中では決まっていません。情景や色という感じよりは、心情的なものを強く感じています。深々とした響き、閃光の炸裂、透明な輝き、静かな語り・・・音が心情と重なり合うような感じです。とは言いつつ、32番の2楽章のある部分で、なぜか私は新しい生命が宿る瞬間、胎児の初めの脈を打ちはじめたのではないかと感じている箇所があります。
  • Q3 小山さんにとってベートーヴェンとは?

    ベートーヴェンの音楽には「能動の力」を与えてくれる何かがあります。聞くこと、すでにある楽譜を弾くことは、考えてみるなら最初は受け身の行動なわけですが、ベートーヴェンの音楽は聞いたり、弾いたりしていると、自分の中に内在する力が知らず知らずに心の奥から湧き上がってきます。200年以上の年月を越えて、ベートーヴェンの音楽が現代に生きる私たちの心を揺さぶることは、なんてすごいことなのだろうと思うのです。
  • Q4 京都ミューズは今年で70周年になります。小山さんは2004年から5回御出演いただいています。京都の思い出、京都ミューズの思い出などございましたら教えてください。

    演奏活動をしていると、続ける、ということの大切さを感じることが多くあります。ベートーヴェンの音楽が250年続いているように、京都ミューズさんが70年という長い時をたゆむことなく歩んでこられた活動に頭が下がる思いです。

    (c) ND CHOW


    人が変わり、時代が変わり・・70年間の中にはきっと色々なご苦労もあったと思いますが、いかなる時もこういう地道な活動を続けてこられたこと、それこそが大変な価値であり経験の重みであると思うのです。
    ベートーヴェンの音楽は、人間が生き続ける限り人々の心に生き続けると思います。
    京都ミューズさんの活動も、また人々の心の中に行き続けていると思います。
    ますますのご発展、そして京都ミューズさんならではの活動が末永く続きますことを、心よりお祈り申し上げます。
    70周年本当におめでとうございます。

以上、お答えいただきありがとうございました。